2005年04月02日

本当の自分の顔だなんて誰も知らない。

 頭痛が終わったと思ったら、気持ち悪いのがまたぶり返しました。わけがわかりません。
 でも、もうクスリはまっぴらなので、代わりに違うもので癒されることにしました。映画です。でも、「ローレライ」でも「北の零年」でも「ハウルの動く城」でもありません。残念ながら「AIR」でもありません。
 じゃあ何か、といえば。ワンピースの映画です。「オマツリ男爵と秘密の島」。とりあえずパンフレットとか買いつつ、気持ち悪さをやりすごしながら見たですけれど・・・
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 ・・・・・・・・・・・・・なんですかこれは
 ええと。Псиが思うところでは、アニメ・原作共にワンピースの持ち味といえば「説教臭さ」だと思ってます(「説教」にネガティヴな意味合いはありません)。もちろん、各メンバーのキャラの立ち具合や叩きつけられる様な絶望っぷり、引き方の巧みさなどなどワンピースを説明する材料は事欠きませんけれど。やっぱり一番はどこかといえば、異常に長い1つのシリーズをちゃんと締め括れる程強力な説教の応酬だと思うのですよ。正しく少年漫画。
 ただ、こうした持ち味は、ラストまでにきっちり下準備をしなければ発揮されないわけで、その為に長い長いお話になるのは仕方が無いところ。それでも原作は1つの話が長すぎることがありませんか、という突っ込みは単行本派のПсиには気にならないのでさて置いて、たかだか2時間の映画で導入から何からやろうとするのはどう見ても無茶。結果、映画のワンピースは終盤のカミーユシステム(根性と気合でスペック以上の能力を発揮すること)とご都合展開だけが目立つ、微妙な展開になりがちでした。って、前作のイメージが強すぎるだけかもしれませんが。

 ところが。今回はちゃんと話があるのです。ワンピ映画なのに。
 ただし。
 ここで、ひとつ言いたいことがあります。
 アニメで何かトラウマ抱えるのが嫌なヒトは、見に行ってはいけません。絶望、絶望、これでもかと叩きつけられる絶望。そう、これは極上の欝映画でした。
 以下、ラストとかに関する細かい感想。>font<を理解しない、携帯電話やテキスト切り出しでご覧の方でネタばれ嫌だという方は、ひと段落するまで(長い横線(>hr /<)が出るまで)お話を無視して下さると幸いです。お手数ですが。

 
 復習になりますけど、少年漫画の伝統を一手に引き受けるワンピースとしては、下ごしらえを長めに取って様々な絶望や閉塞感を積み重ねつつ、最後に残った希望を全速力で叩いて解決する時の爽快感が素敵なんだと思うです。そうすると、ラストを除いた1時間30分前後で作れる機微なんてとても微量なものですから、ラストに説得力が足りなくなるのは仕方の無いところです。
 今回のワンピ映画は、まず仲間を仲違いなりなんなりで引き離して一人一殺で辛さを与え、徐々にルフィが孤独になっていくことで辛さを増幅し、最後は仲間が全員「花」に吸収される+超絶に強い男爵などの描写で大変な絶望を与える・・・これは原作やアニメの1エピソードを早回しで再現しようとしたのだと思います。ルフィ以外全員が戦闘脱落というのは劇場版としてどうかとは思いますが、前半パートには一応全員にそれぞれ売りのシーンが用意されていますし、なにより1エピソード並みの絶望を2時間で作るには他に方法が無かったんでしょう

 絵は妙に平面的でのっぺり。色も影も薄めでとても2次元的だったり。その代わりに3Dは異常に豪華で・・・って、誰がどう見ても3Dだと判るとか、3Dの中で平面塗りキャラが浮いているとかあるですけど、その辺は各自でそれぞれに吟味すると良いと思います。
 何より、無駄に豪華なサラウンドっぷりがちゃんと最後に活きるのが最高だったり。もっとも、とても嫌な活かされ方なのは否めませんけど。

 劇場版なのでキャラ説明は殆ど皆無ですから、現行キャラ(ニコ・ロビンまで)を知っている上、暗い話が大丈夫な方はいいから今すぐ見に行くと良いと思います。今までの劇場版を回想して気後れすることはありません、全然別物ですから。ただし、各キャラの持ち味が発揮された楽しい映画が見たい、(最後はハッピーエンドですが)映画で暗い話が苦手、なんかゴールデンウィークを見越して親戚等のコドモを押し付けられたのでとりあえず連れて行って黙らせたい、などといった方はこの選択肢は大外れです。最後の方は素直にプリキュアを待ちましょう。
 展開が欝々しいのも然る事ながら、「「ぞおおぉぉぉぉぉぉろおおおおおおおぉぉぉぉ」と叫びながら必死の形相でぐんぐん首が伸ばていくルフィ」とか「幾百の矢を受けて土気色のルフィ」とか殆ど発禁級。コドモに限らずトラウマ残すのは確実です。ただし、じゃあ「CASHERN」並みにアレなのかというとそんなことはなく、最後は底抜けのハッピーエンド。この島のイヴェントでいろんな確執が生まれた筈ですけど、そんなこと微塵も感じさせない終わり方でした。

 もちろん、全く不満が無いわけではありません。というか、そんな風に裏を勘繰ってみたところでメンバー全員が活躍できないワンピースというのはやっぱりアレですし、花は結局なんだったのか、どういう能力で船長の後ろ暗い過去とどう繋がったのかについては全く説明無し。もっとも、薄っぺらい説明入れるよりはばっさり削られた方がずっと素敵ですけれど。他にもどうしてそこで追尾の矢を射ないですかとかルフィはおとなしく話を聴いてないで今殴りなさいとかの少年漫画特有の突っ込みも多々。そこまでいくとただのやっかみみたいですけど、とりあえず突っ込み所が全く無いわけじゃありません。ただ鬱っぷりが甚だしすぎて素敵なだけで。

 前半のお祭り騒ぎと後半の薄暗さ、山の頂上のアレが割れた時の悪夢の中にいる様なスケール感と悲壮さなど、本当に見所満載です。というわけで、正統的ワンピースに近づけたいが故にワンピースから乖離しているワンピース映画、欝なのが大丈夫な方は是非どうぞ


 あ、あと綾小路翔が出てますが、特段浮いてる様子はありません。前回の著名人声優祭りはみんなでオンドゥっててうざったいだけでしたが、今回は許容とかそういうレヴェルじゃなく、知らずに見てても違和感無い感じです。ちなみに敵方コックの役なので、気にかけるヒトは気にかけてみてください(スタッフロールでキャラ名見ても「コテツって誰」という話に絶対なるでしょうから)。


 終わってからポスターを見たら、「最大の笑い」とか「笑劇」とか楽しさをかなりアピールされていましたけど、これは詐欺って言いませんか。JAROですっ、JAROにお電話をっ。


 ぼんやりつけていたテレビがAnimeTVを流していて、運良くファンタジックチルドレン特集を引き当てました。わあい。・・・最終回をさっさと見ないと。


 エマ。

♪~月の瞼[La'cryma Christi]

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