2004年11月03日

果てない夢がちゃんと終わります様に

 「一週間はヴィジュ強化ウィーク」と言っておきながら、ずっと音沙汰なしでごめんなさい。
 腐り果てていてごめんなさい。
 ちょっとした事情があったとはいえ、急にPS版裏ドルアーガを始めて地道にクリアとかしていてごめんなさい。20Fと40Fで何度も死んでごめんなさい。
 乾ききってしまった、腐ったПсиは、ムックの「絶望」を口ずさみながら活性化の為に出かけてきました。浮世を歩くものの習性のひとつに、苦行と判っているイヴェントに自ら参加することで自らを律する、というものがあります。現在のПсиは色々なものが足りませんけれど、一番足りないのは「矯正」です。あえて自ら苦行に飛び込むことで歪みを見出す・・・なんと素晴らしいことでしょう。

 ですから、わかっていたのです。
 苦行が文字通り「苦しい」ものであるということは。
 それを踏まえた上で、Псиには誤算がひとつだけありました。

 苦行の「程度」を完全に見誤っていたのです

 Псиには、どれだけ今日起こったことを正確に伝えられるか判りません。でも、頑張ってみることにします。


 ・Intro

 今思い返せば、一番平和な時間でした。太陽が眩しいので真黒な服でカラダを包んでとぼとぼと歩きつつ、昨日までの肌寒さは濁った影の中にでも隠れてしまった様で、ちょっと着込んだことを後悔してみたり。銀色のプラットホームや仮想電車内では最近増えた電波さんに怯えながら、ちんまりとまるまって。そんな窮屈さを忘れる為に、iPodで次々とアルバムを召喚します。
 今日は「今年買ったアルバムをもう一度聴いてみよう週間」と無根拠に位置付け、蜉蝣の「蜉蝣」と櫻井敦司の「愛の惑星」を聴き終わり、メリーの「モダンギャルド」に入って気分は昂揚。これなら、苦行がどれだけのものであっても大丈夫。そんなことを思いながら、Псиは今日の目的地・・・映画館に足を踏み入れたのでした。


 ・Part-1:Devilman

 はっきり言います。
 予想以上でした
 もちろん、Псиは色々と評判を聞きつけた上で行きましたから、最早駄目なことは判っていて鑑賞したのですけれど。限りなく超絶な展開、無駄なゲスト、そして致命的なキャスト陣の演技力・・・どれも前評判通りです。
 ただ。
 それらすべてがПсиの予想を遥かに越えたものであり、前評判で判っていた突っ込み所も改めて突っ込みを入れずにいられないという、実に恐るべき映画だったのでした。
 (以下ではかなりネタをばらしてますので、スタイルシートで背景色と同色になる様にしています。もっとも、今更ネタバレに配慮する必要があるのかは微妙ですし、この映画に限ってはどれだけネタバレしたところで実物の前では無力なのですが、一応)

 もちろん、あの原作を2時間のフィルムに収めることには無理があるわけで、その為に不動明の仲間やデビルマンの仲間を削ったのは間違った判断ではないと思うのです。そして、発生したイヴェントの項目名だけを見れば、原作の要所は抜き出せている筈です。だって、「不動明がアモンと合体→生身の不動明が戦闘能力を実装→シレーヌ戦→ジンメン戦→いじめられっ子のミーコがデビルマンに→両親がデーモンになった男の子→不動明がデーモンとして連行される→牧村家襲撃→サタンと対決」って、項目だけ見れば間違ってない様と思うです。
 ただ、それぞれのイヴェントの発生条件/収束方法がとても曖昧で、かつ説明すべき点がプロットだだ流しか「サタンだからな」「デーモンだからな」で終了する為、全然筋が通ってなくてなんて真当な批評をしている場合ではないのですよ。理性的に批評しようとするととにかく歯痒さだけが残るのです。

 Псиも、最初は「南極をボーリングして掘り当てた悪魔の因子に、飛鳥の父親はどうして学校から車で行ける範囲で合身したんだろう」とか、「年齢的にも校則的にも飛鳥は学校に車で乗り付けて良いのか」とか、そんなことを思いながら見ていましたが、それではココロが無駄ログで押しつぶされてしまうので微妙に思考停止モード。
 それでも、やはり「ぁぁああああああああぁぁぁ(どうやら絶叫らしい)」や「ハッピーバースデイ。デビルマン」「ぁぁあああ、おれぇぇ、デーモンになっちゃったよぉぉ」等の名言は大笑いしたい衝動を押さえつけるのに苦労。たぶん、「ハッピーバースデイ、デビルマン」なんかは上手く行けば最高の名言になる筈だったのに、脈絡も意味も無くサタン化した飛鳥が言った上に演技自体もアレな為、違う意味で名言に。不幸なことこの上ありません。
 ただ、全編がネタだらけで退屈しないかといえばそうでもなく、途中はしっかり中弛み気味になっていて。なんなんだろうと後から推測するに、中弛み期の特徴を鑑みると飛鳥も不動も出てこないシーンで、つまり二人が駄目なのは勿論のこと、二人が出ないシーンも普通に駄目という救われない結論が。ただ、ミーコ+ススムくんのペアの演技は、正しい意味で劇中で最強ランクに入るものでした。特にススムくんには最高位の栄誉を勝手に進呈。もっとも、次点はニュースを読んでいるボブ・サップとか、牧村夫妻(宇崎龍童+阿木燿子)の通常は「味」で済まされる箇所が軒並み駄目に見えるとか、大番狂わせだらけでどこから突っ込んで良いのやら。

 役者陣がそんな感じなので、話なり演出なりの試験5分前ののび太くんくらいに迸る駄目さを説明するのは容易ではありません。一応は頑張ってみるテスト。
 牧村家襲撃後、教会のシーンからは怒濤の展開が続くのですが、飛鳥と不動が対峙した辺りから戦闘開始までの間、Псиはスクリーンを殆ど見ていません。笑いを堪えるのに必死で。そこそこ良い雰囲気の教会の祭壇におもむろに生首を飾って邪教の館っぷりを演出した後、突如「くぁみはいたくぁあっ(かみはいたか、の意味らしい)」と叫びながら入ってきた飛鳥がコートを脱ぎ捨てたら白いタキシードを着ていて、向かい合う不動の後ろには常に霞んだ生首という構図も演技も隙だらけな展開になるのですが、この説明ではあの駄目さを説明できていると思えません。Псиはどうしたら。

 普通のシーンや感動できる筈のシーンがことごとく笑いに変換される反面、凄惨なシーンは変換の余地も無くただ凄惨な点が一番嫌な部分。そして、無闇にそうしたシーンが多い(しかも原作ほど効果的ではない)ので、それらのシーンが本当に鼻につくですよ。いえ、Псиが元々暴力描写を好まないのもあるかもですが、それにしたって。

 ともあれ、散々笑いました。感想としては極上の駄目(エンターテイメントと読み替えても構いません)。幾つかのシーンは思い出す度に笑いがこみ上げてきます・・・なんて生易しいものではなく、終了後しばらくは劇場の外で笑い転げました。本当に、チケットを安く入手できて良かったです
 いっそのこと、主役二人にGacktとhyde希望。不動Gacktと飛鳥hydeですよ。MOON CHILDはПсиの中でかなり薄らいでいますけど、それでもこの二人よりはずっとマシに違いありません。ヴィジュ好きだけは万歳なキャストでリベンジ。正直、紀里谷監督がリメイクしてくれないかなあとかいろいろと思ってみたり。いえ、もうDevilmanが凄惨な話であることは今回の映画化で知れ渡ってしまったでしょうから、そもそもリメイク自体が有り得ないでしょうけど(「カイの冒険」のヂレンマ・・・って、結局ドルアーガですか)。


 ・Interval

 ごはん〜。Devilmanの駄目さを散々吐き出しつつ、今度はMOON CHILDの片割れへの期待を高めて。


 ・Part-2:Last Quarter〜下弦の月

 ・・・
 ・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・あー

 こまりました。
 なんて微妙な出来
 演技はかなり頑張っている様に見えましたが、直前に見たものが比較対象になるのは禁じ得ず、その肝心の直前鑑賞作がさっきお話したデビルマンを指すわけで、何の参考にも慰めにもなりませんが。
 もっとも、そんな中で演技が微妙な方が2名程いて、その内1人はアルファベット4文字のあのヒト。MOON CHILDの時よりもひどくなっている様な。やっぱりGacktフィールド内でないとhydeの演技は駄目ですか。
 (以下ではかなりネタをばらしてますので、スタイルシートで背景色と同色になる様にしています。なお、(もう上映している映画館は少なそうですが)一応見に行きたい・期待している方や、特に映画を絶賛したヒトはスルーすることをお勧めします。もしもそれでもПсиの評価を聞くのであれば、「考えすぎて見るとこうなるんだ」というケースの1つと捉えて頂ければ幸いです)

 まず、絵は素敵。Adamと美月の服飾+Adam屋敷の雰囲気がチケット代の90%を占めるくらいに素晴らしいです。昔のプラ好きさんとかAtmos*note好きさんとかはなんとなく蛍と正輝の服装にシンパシーを感じるでしょうけど、その辺りは各自の好みで。
 あと、前半は現象だけを描いて、後半で事実を解明する類のスタイルなので、前半で話を投げると損します。いえ、それにしては前半に投げさせるポイントが多すぎなんですけど。最初にAdamの館に行く下りがちっとも迷い込んだ様に見えないとか、不自然なまでにベッドで寝ない主人公とか、全体的に時間の経過が判らない(Adamの「一週間の滞在」というコトバがちっとも活きないので、最後の盛り上がりに大きな爪跡を残します)とかhydeとか。基本的に前半は展開が唐突すぎる上に、印象に残したいシーンに添加物を付けすぎるきらいがある為、嫌いなヒトは本当に嫌いかもしれません。
 後半は蛍と正輝による謎解き篇。最初に「演技が微妙な方が2名」と言いましたが、そのうち一人が正輝くんなのですよ。とはいえ、もちろんDevilman級を意味するわけではなく、幼さともなんともつかない台詞回しの甘さがすごく耳につく、というそれだけの話ですけど。もう1人に比べればかなり軽傷。基本的にはテンポ良く話が進み、ちょっとした推理の端折りちょっとした話の引き伸ばしは見えつつも、上手く話は進んでいた気がします。

 ただ、全部見ても判らない点が幾つか。19年周期で同じ月が巡ることと20年前の事件に関連を持たせるのはどうかとか、謎解き部分に19年周期とか月とかが関係無い(あるとすると破綻だらけ)とかの話から、そもそもどうしてAdamはあの屋敷にいましたかとか、考え出すと謎な点だらけ。イヴェントと最低限のヒントだけ与えて、意味づけ等は勝手に考えて下さいという話なのでしょうか。
 謎解き部分とかを抜いても、成宮くん・・・じゃなかった、知己があんなに美月の為に奔走する様なヒトであればそもそも浮気なんかしないんじゃないかとか、結局親友はどうしたんだとか、考え出したらキリがありません。全部終わった後のあの二人の周辺は、かなり痛い空気がはびこっていると思うのですけれど。大体、どうして死亡確認を取って、生命維持装置を外して何分も何十分も経っている体が後遺症も無く復活しますか。というより、心拍数を図る装置って死亡認定後も延々と付けられているものですか?
ファンタジーにそこまで突っ込むのは野暮ですかそうですか。

 あとは・・・ええと、創作で「生まれ変わって必ずあなたに逢う」と言う台詞が出て来た時はこの上なく重要なフラグとして認識するべきだと思うのですが、Adamは後追い自殺してフラグを放棄。現実にもフラグの概念を持ち込むゲーマーさんにはそもそも想像し得ない展開です。
 結局、フラグを回収する為だけに現世に彷徨い出たAdamは、なぜかコイビトの上条の屋敷に住み込んで美月のことを待ち惚け・・・でも、Adamが何をしたかったのかは全然判らなかったなあ。とりあえず、「フラグは着実に潰せ」という教訓を提示していたと解釈してみたり。

 全体的な構図とか、おまけで出てくる要素の諸々(月の満ち欠けを示した紙芝居等)とかに強く感じたことですが、なんだかSUGIZO×柴崎コウの「SOUNDTRACK」臭を感じました。現実味とか生活を感じさせる絵が極端に少ない辺りがそう思わせるのかもしれませんけど。ううん、なんででしょう。(と思って調べてみたら、監督が同じでした。納得)

 ひどいことをたくさん言いましたが、少なくとも絵は綺麗ですし、細かく考えなければ面白いかもしれません。DON'T THINK。
 あと、やまだひさしさんとか陣内孝則さんを見て、「ああ、カメオ出演ってこういうことだ」とつくづく感じたことでした。後者はともかく、前者は全く無理がありませんし。

 


 ・utero

 帰りはとにかくゆったりしたい、癒されたいと思って、一青窈の「一青想」をずっと聴いていました。平井堅と悩みましたが、仮想世界の中心にでかけてチカラの限り叫びたくなる衝動に駆られそうだったので断念。
 「笑える程駄目な話」の直後に「そこはかとなく駄目」な話を見た辛さ・・・言い換えればこの上ない後味の悪さを、Псиはしばらく引きずりそうです。というか、このココロに生まれた混沌を、誰かなんとかしてください。

 今回の苦行の成果:


  • フラグは潰しましょう

  • hydeはhyde

  • 奮い立つ為の苦行が逆効果

 ああ、「大家(ダージャ)」で泣きそう。・・・さっきまで蜉蝣とか聴いていたПсиはどこへ

♪~ハナミズキ[一青窈]

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苦行お疲れ様です。うららもデビール人柱になって参りました。自分の場合は定額で観てしまったので笑えませんでした(死)。変身後もあの声っつーのが泣けましたね・・・。
一青窈が主演した「珈琲時光」は良かったですよ。ちゃんと演技出来てたし(つーか素)。ただ事件らしい事件が起きないので、一青窈のプロモビデオみたいかも。

ありがとうございます~+おかえしでおつかれさまです(笑)。
Пси、事前に内容の調査をしたのも、定価より安く見る努力をしたのも初めてでした。つまり、評価を知っている上に定価でもないので肩の力を抜いて見られたですけど・・・・そんな準備がなかったら・・・Пси、確かにデーモン化していたかもしれません。天使なのに。
あの「ぁぁああああああぁぁぁぁ」という奇声と共になぜか上方へ視点がパンする駄目場面や、デビルマン×シレーヌ等での「うぅっ・・・・ぅはあっ・・・・せぃ・・・・・ぁあっ・・・・」という声は、今もПсиを苛みます。うわあん。
珈琲時光は良かったですか~。単館だし遠いしお金が無いしと引っ込み思案っぷりを発揮していたですけれど、調べてみたら今日までだったんですね。。
今は淡々とした・・・というか、劇中の大きなイヴェントの有無に関わらず、良い意味でまとまったお話が見たい気分だったので、とても丁度良さげだったのですけれど。ライヴと一緒で、見たいと思ったら見に行かないと駄目ですね。。残念。

  •   Пси
  • 2004年11月06日 00:41

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