Adobe税をはらいました。
CS1 PremiumからCS2 Premiumのアップグレードには\80,000くらい、CS2 PremiumからCS3 Design Premiumのアップグレードは\130,000くらい。いろんなものをいつわってヒトの世界に紛れ込んでいる野良天使にはひどい話です。四つ葉のクローバーで冠を何回作ればいいのかしら(遠い目をしながら)。
しかも、CS3はリリースされたばかりで、こんな時期にアップグレードしたところで仮想印刷屋さんに白い目で見られる以外にメリットは無いとは判っていますが、気が向いてしまったのでしかたがありません。
今回は単純なアップグレードではなくて、内容の変更も含む類のものだったので、価格の上昇も仕方の無いところですけれど。せめてCS3からCS4の時には価格の上昇が無いといいなと思います。無駄にInCopyのライセンスを3つくらい付けて\50,000上乗せとかしませんように(どう考えたってしません)。
その関連で仮想ショップをとぼとぼ歩いていたら、QuarkXPressのパッケージを見つけました。Псиの知っているQuarkXPressは新品で\300,000近いブルジョワジイ向けソフトだったのですが、なぜかПсиが手に取ったQuarkXPress6(最新版は6.5)はInDesign並みな価格が書かれた値札が貼られていました。アップグレードパッケージなのか、あるいは仮想Adobeの手の者がQuarkXPress使いにぬか喜びと絶望を与える為に行った罠だと思ってしまいましたが、どうやら本当に安くなったみたいです(→参考)。しかもプレミアアップグレードって。
こうしてみると、本当にInDesignが与えた影響って大きかったんだなあと思います。QuarkEXpress7日本語版はOpenTypeの機能を全部扱える様になるはずですけど、どれだけインパクトがあるんでしょう。Псиわかんなーい(かわいくありません)。
Adobe税を払った、なんて話の後には似つかわしくないですが。
Scribusをつかってみました。
ScribusはオープンソースのDTPソフト。GIMPとScribusがあればその筋のヒトは大喜び、という期待を持たれていたり。しかもWindows用のインストーラもちゃんとあるので、なんだかわからないけどPS3にLinux入れるところから始めるとかCygwin入れろっていうから入れたけどなにこれ的なことは発生しなくて安心です。
ただ、問題として英語由来のソフトなので日本語組版がちっとも考えられていないという仮想無人島で唯一の所持品がドライヤーなくらいに些細な問題があります。GUIは日本語表示されるですけどね。
というわけで、今の内はちょっとかわいそうなこの仔を使ってみることにしました。スクリーンショットがたくさん出てきますが、どう見てもまっとうなウィンドウの外観ではありませんが、VistaじゃなくてXPです。
さてさて、まずはダウンロードしてきます。1.3.4は新機能の追加があるらしいのですが、Windows用のバイナリは無いので1.3.3.9を使います。
デフォルトのインストールパスは"C:\Program Files\Scribus 1.3.3.9"なのがアレですが、そもそも"Program Files"にもスペースが入っていることですし、広いココロでスルーするといいとおもいます。
起動時のスプラッシュウィンドウは、アクティブだろうと非アクティブだろうと最前面ですが、広いココロでスルーするといいとおもいます(またか)。初回起動時には「フォントキャッシュを作成しています」というメッセージのままかなり待たされますが、広いココロ(わかりましたから)
起動すると(GhostScriptが見つからないからEPSが作れない、というダイアログの後に)新規ドキュメント作成ダイアログ。
基本的にはインタフェイスは全部日本語です。
ここは「自動テキストフレーム」のチェックボックスを付けて、列数は2にしてみます。
作成されたドキュメントで、まずはInDesign感覚で「ページの配置」ボックスでマスターページをドキュメントページ側にドラッグしてみましたが、何も起こらずにしょんぼりしました。ダブルクリックしてみたら得体の知れないボックスが開かれて「標準」マスターページが勝手に複製されて、つまるところよくわからないことになったので竜太朗ばりに全部リセットです。
気を取り直して同条件でドキュメントを作成して、まずは英語でテキストをベタ書きしてみます。
通報はやめてください。あるいは内容について気に掛けないでください。右側の「プロパティ」ボックスの各ボタン「X,Y,Z」「形状」「テキスト」とかを押すことで、各コントロールの詳細を呼び出すことができます。現在は「テキスト」が選択されているので、とてもそれっぽい項目が並んでいます。
これはほぼデフォルト状態で、Languageが「English」、フォントが「Times New Roman」になっています。この状態では日本語の入力ができません(IMEが反応しません)。じゃあ無理にペーストしてみたらどうなるでしょう。
試験自体は簡単ですが、ПсиはCRUCIFY MY LOVEに関するトリビアが裏面のアレと出光のCMだったことくらいしかありません。ですので、ここはwikipediaのチカラを借りることにしましょう。
適当なテキストをコピーして、貼り付けてみます。
きゃああああ。
とはいえ、フォントがTimes New Romanでは当然かもしれません。この環境はAdobe税の対象ではないプアな環境な上、最近再インストールしたばかりでウィンドウの概観変えたくらいしかしていないアレな代物なので、出来合いの何かを選んでみます。
わあい。
ちなみに、中央付近で折れているのは新規作成時に無駄に2列を選んだせいでしょう。表示できるものをみんな表示させてみましょう。
あ、ベースラインだけ表示してない。でもいいや(いいのか)。
あまりたいしたことができないので、この後は「ファイル>設定」のダイアログ一覧をお届けします。誰の役に立つのかさっぱり判りませんし、これが何かの参考になるともあまり思えませんけれど。
「設定(Preferences)」は表示までに妙に時間が掛かりますが、広いココロ(以下同文)
全般
文字通り、全般の設定。
ここの言語はあくまでGUIの言語なので、「日本語」を選んでもドキュメントには作用しません。あと、ドキュメントパスはMy Documentsの上、ユーザ名のディレクトリなので、気に入らなければ変更するといいと思います。
ドキュメント
文字通り、ドキュメントのサイズやマージンの設定。
ガイド
ガイドの設定。デフォルトだとこんな寂しい状態です。「ビュー」メニューで各アイテムをチェックすると表示させることができますが、この設定はドキュメント依存なので、「常にグリッド表示されてないと気が済まないのっ」という方はチェックを付けておきましょう。
あと、当然ですが、ここで言うグリッドはInDesignやEDICOLORのフレームグリッドではありません。念のため。
タイポグラフィ
タイポ設定。見たままです。
ツール
画面上部にあるツールボタンの振る舞いを決められます。
中の6つのボタンで分岐。
ハイフン
提案ってなにさと思って英語のダイアログを見ると「Hyphenation Suggestions」で確かにハイフンの提案ですがなにこれ。でも、ハイフネーション自体は日本語じゃあまり気に掛けませんし。
これで禁則だのぶら下がりだの考え出すと絶望したくなりますが、仕方の無い話です。
フォント
「フォントの使用」のチェックは外すことができます。わあい。
「追加パス」は「ドキュメント閉じないと追加なんてさせないんだからっ」というごむたいなテキストが表示されています。クローズさせるとこんな感じ。
かわりばえしません。
Windowsのその筋の方はC:\Program Files\Common Files\Adobe\Fontsでも足してあげればいいと思います。特に再起動をしなくても反映されます。
プリフライト設定
InDesignでもお馴染みのPDF書き出し検証機能、プリフライトに関する設定。「PostScript」と表示されているフィールドはドロップダウンできて、他に「PDF1.3」「PDF1.4」「PDF/X-3」が存在します。
カラー管理
カラーマネジメント。デフォルトオフなので、適宜設定しましょう。
PDF出力
PDFに関する設定。自前でPDF書き出しができるので便利です。ところで、何をどうやってもPDF/X-3タブがグレーアウトのまま。しょんぼり。
カラーマネジメント。デフォルトオフなので、適宜設定しましょう。
ドキュメントアイテム設定
目次とインデックス
キーボードショートカット
そういえば、ショートカットは独自のものらしくて、たとえばHを押してもスペースキーを押してもハンドツールになったりはしません。InDesign風定義ファイルとか探せばありそうですが。
表示
外部ツール
その他
プラグイン
ショートワード
スクリプタ
コンソールの方はどのパラメータも灰色ボックスが並んでいますが、ダイアログ出したまま画面を再描画すると一瞬色が入ります。謎。灰色部分を叩くとカラーチャートが呼ばれます。
こんなのが誰かの役に立つのでしょうか。並べてみてから謎になってきた。
最後に、Scribusのちょっとした特徴をひとつ。ScribusはどうやらPythonで書いたスクリプトを呼ぶことができるみたいです。最初から導入されているスクリプトの内、カレンダー作成スクリプトを呼んでみます。
スクリプトを選択するとダイアログが開くので、年と月を選択します。
OKボタンを押すと、(その後スタイル書式の設定がありますが割愛)新規ドキュメントが作成されて、1枚もののカレンダーができあがります。
上半分はイメージフレーム、下半分はカレンダー。レイヤーもきっちりわかれています。
スクリプト自体は{インストールディレクトリ}\share\scriptsに入っていて、このカレンダー作成スクリプトも「CalendarWizard.py」という名前で置かれています。これを解析すればなんでもできそうですが、きっとその前にwikiとかを参照した方が良いでしょう。
分版やCMYK対応、PDFの書き出しやインポートなど、フリーとは思えない機能を持っているScribusですが、日本特有の問題が解決されない限りはどうにもならなさそうです。最近の印刷事情では、PDF出力まで持っていければ後はなんとかなるでしょうけど、このツールは出力までを細かくフォローすることはできなさそうです。
ちゃんとグリフも使えるけれどユーザ独自のパレットは作れなさそうとか、少なくともポテンシャルの高さは感じます。
後は今後の展開次第ですけど、元々がすごく少人数で作っているツールらしいので、日本の組版事情をよくご存知の本職さんとかが私家版をがりがり書き始めるとかでもしない限りはなんとなく進まなさそうな。オープンソースなんですし。
あともう一つ、InDesignでは直接ベジエ曲線が描ける等のIllustrator的な側面がありますが、Scribusにはそうした機能はありません。レイアウトソフトはレイアウトだけすればいい、という観点ではどうでもいいことですが、どちらかというとオープンソースで手軽にベジエが操れるソフトは未だ無い、ということを言いたかったりします。
まだしばらくは「同人ユースで最終的にPDFで書き出せば望みがありそう」といったヒトであってもオープンソースで身を固めることはできなさそうです。目指せGIMP級の何かっ。正確にはCMYKの強いGIMP級の何かっ(どんな未来予想図ですか)。
というわけで、ローリスクハイリターンでうはうはな同人生活を極める為の腐女子向け読本とか何かを狙って突如フルデジタルの同人誌を作りたくなった鳶丸さんの需要などを満たすツールではありませんし、この先は長そうですけれど、でも期待の眼差しを送ってみますのです。
♪~DAHLIA[X JAPAN]
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