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なんでもかんでも「ヴィジュアル系」と冠を付けてみるアワード2010

「ヴィジュって定義とかあるの?」と尋ねられて「ヴィジュってなあに? おいしいの?と無垢な笑顔で答えることに慣れている訓練されたヴィジュすきーさんにおかれましては、世に溢れる「ヴィジュアル系」の表現に眉をひそめることも多々あると思いますのです。

ライヴに通い、アイテムも買い、雑誌も買い、脱退や解散に一喜一憂し、ホールよりハコ通いがメインだしインディーズのバンドの方がたくさん見たしというヴィジュすきーさん(現在進行形/過去完了形どちらも含む)にとって、「ヴィジュアル系」というコトバにはそれなりに思う所があるものです。
一方、世間の「ヴィジュアル系」というコトバはもっと違った場所にあって、ちょっと見た目が派手だと「ヴィジュアル系」という冠を付けようとします。ニュースで、新聞で、雑誌で、なんだかよくわからないものに「ヴィジュアル系」という冠を付ける風潮は、21世紀になっても相変わらずです。そうした無神経は、ヴィジュをそれなりに見知ったヒトのココロを荒ませ、そのヒトが本来湛える筈だった生涯笑顔の1つを無残にも踏みにじるのです。

最近、Псиが報道における「ヴィジュアル系」というコトバでいちばんがっかりしたのは、ももかんが登場した時だと思います。これは石井完治さんと丸山ももたろうさんのアコースティックギターデュオで、キャッチコピーがビジュアル系美中年ギターデュオ。2002年の結成当初は全国紙を中心にそれなりに露出があって、「中年がヴィジュアル系を名乗ってもいいだろう」という様なインタビューをしていたのが印象的でした。念のために捕捉しておくと、音楽的にもヴィジュアル的にも系譜としても所謂ヴィジュの要素は一切ありません。
...先程使った「印象的」というコトバがどれだけの負の印象を抱えているかは、みなさまの想像におまかせします。

今の「ももかん」のお話をもうちょっと掘り下げてみます。Псиは、一体このキャッチフレーズのどこにしょんぼりしたのでしょうか。年齢? いえ。ヴィジュの界隈において、年齢の概念はあまり重要ではないと思っています。ファンに714歳がいるくらいですし、バンドも未成年からベテランまで様々。年齢によって諸々のハードルが上がるのは確かでしょうけれど、それでもヴィジュは年齢で足切りされるものではありません。フォークだから? デュオだから? いいえ、そんなことでも恐らくありません。

「ヴィジュアル系」というセカイにどっぷり浸かっているПсиは、「ヴィジュアル系」というコトバにいろんな像を持っているのです。起源はいろいろ言われているものの、なんとなくカタチとして形成した「ヴィジュアル系」は、今や多くのヒトが愛好し、多くのバンドと関係者が存在し、多くの専門誌や専門メディアが界隈を賑わせています。

こうして「ヴィジュアル系」というコトバが既にあるセカイを確立している中、先程の思いつきの様なキャッチフレーズや偶にみられる記事表現では、「ヴィジュアル系」というコトバが既に背負っているセカイを完全に無視するのです。おそらく、彼らは「ヴィジュアル」というコトバが欲しいだけで、「ヴィジュアル系」というコトバの裏にどれだけの意味が込められてしまっているのかは、あまり気にかけないのでしょう。バンギャ友達がいないので感覚的にわからないのかもしれませんある意味それはシアワセなことかもしれませんが
その意味で、VKB428とかも業が深い存在だとは思いますが、それは今後に取っておくとして。

そもそも定義があやふやなのがヴィジュアル系で、その中で拡散発達した有象無象がヴィジュアル系。そう考えるなら、みみずだってカエルだってアメンボだってヴィジュアル系でいいのですけれど、実際はそこまでなんでも良いわけでもありません。
ピンクハレルヤはヴィジュを判った上でヴィジュと界隈を笑いにした試みでした。jealkbはいろんな点で多分にヴィジュです。ヴィジュに定義があるとするならば、ヴィジュという自覚と表現に尽きると思います。自覚の無いみみずはただのみみずなのです。そんなただのみみずがヴィジュアル系のレッテルを貼られても、「昨日、アメリカ行ってきた」と嘘を吐く小学生に向けられる眼差しよりも冷たい眼差しを受けて、あえなく地面をのたうち回るだけなのです。

でも。Псиは「ヴィジュアル系」を銘打ったおかしな表現を見つけては「それはヴィジュじゃありません!」と仮想北米の日本食鑑定員よろしく軍服に身を固めて粛正の行脚に出る...なんて真似がしたいわけではありません。そんな痛さも行動力も強さも持ち合わせていないПсиは、ただそれらを冷ややかに見つめるだけ。記者さんの悪乗りなのかなんなのか、ここでは本人の動向に関係なく「ヴィジュアル系」という冠を付けられてしまったモノたちをあげつらい、怒ることなくただにやにやと眺め返そうという「なんでもかんでも「ヴィジュアル系」と冠を付けてみるアワード2010」を開催したいと思います。

ごめんなさい、前置きが長すぎました
そんなわけで、「なんでもかんでも「ヴィジュアル系」と冠を付けてみるアワード2010」現時点でのノミネートを発表します。

今回は、記事タイトルに「ヴィジュアル系」が入っているものはタイトルだけ、本文に入っている場合はその部分を<q>で引用しています。
対象は、全然ヴィジュじゃないものに「ヴィジュアル系」の冠を付けているWeb上の記事であること、媒体が個人ブログなどではなく、企業が企業の名前で発したものであること(記者名が表記されている/いないはこの範疇ではありません)の2点だけです。
なお、ノミネート作を受けてПсиが発するやっかみはすべて「ヴィジュアル系」という表現に向けたものであって、商品や人物そのものに対してではないことをご了承ください。

思い付いたのが09月頃なので、それからの記事しか集めていませんけれど。それではどうぞ。

ひと
注目はビジュアル系として話題の初代表、田中理恵(23)だ。初代表・田中理恵、床の妖精に注目 体操日本女子8位で決勝へ」(zakzak)
アジア大会で入賞を目指すビジュアル系ハードラーは、19日のスーパー陸上(川崎・等々力)に出場する予定だ美人すぎるハードラー・城下がグラビアデビュー...陸上」(スポーツ報知)
たべもの
「まるで炭!?」と見間違うほど"真っ黒"な、ビジュアル系(?)のからあげだ。まるで炭!? 岐阜県発の"真っ黒"なからあげって?」(ウォーカープラス)
見た目インパクト大の"ビジュアル系"お好み焼きって?」(ウォーカープラス)
ローソンのビジュアル系ドーナツ『とっておき ストロベリーリング』ほか全3種」(日刊テラフォー)
どこからどう見てもカボチャという、超ビジュアル系の中華まん「えびすかぼちゃまん」(108円・10月26日(火)発売)も、ミニストップから登場。ロールケーキもオレンジ色に! コンビニ"ハロウィンスイーツ"実食レポ」(ウォーカープラス)
そのほか
私などはパッと見て、ひと目ぼれしちゃいました~♥ でもね、ビジュアル系というわけではないの。ギリシャ発。HONEYなコスメが初上陸!ホンモノなのにスウィートな『アピヴィータ』に首ったけ♪」(美的.com)

こうしてみると、ウォーカープラスは食べ物を「ビジュアル系」と呼ぶことにご執心だということが判ります。女性スポーツ選手に「ビジュアル系」という冠が付くことは多く、特に城下選手は他にもこんな記事があります。

美人であること、黒いこと、エビがまるごと入っていること、DOUGHNUT PLANTみたいなドーナツ、アヤパンに似ている、どうみてもかぼちゃ...ノミネート記事の傾向から「無垢な視線のヴィジュ定義」を探るのも難しそうです。見た目のインパクトが(従来のそれより)大きいことが作用していると思うのですけれど、アピヴィータの紹介に至ってはどういう文脈でここにヴィジュアル系というコトバが出てくるのかさっぱりわかりません。「ヴィジュアル系=見た目だけ」ってことかしらね。まさかね。でもたぶんそうよね。いやだわ。

「なんでもかんでも「ヴィジュアル系」と冠を付けてみるアワード2010」のエントリーは今年いっぱい募集します。もしもWeb上のニュースなどなどで「ふに?」と首を傾げる「ヴィジュアル系」表現を見かけたら、Псиまでご連絡いただけましたら幸いです。コメントは相変わらず機能していないみたいです(ごめんなさい)から、メールフォームなどをご利用下さいませ。

幸か不幸かヴィジュの界隈にはまっているあなた、年末年始はみんなで一緒に泣き寝入りましょうです

♪〜近代的コスメ唱歌[cali≠gari]

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