2011年6月アーカイブ

どうして今更AudioGalaxyを使う気になったのか、というと。

今度のWWDCでiCloudが発表される、ついにiTunesがクラウド対応する、という話が聴こえてくる様になりました。どうもライブラリの曲をクラウドに置けるサービスだとか、そうではなくて所有楽曲へのアクセスは無料で許す類いのクラウドミュージックだよとか、音楽だけじゃなくて映像も写真もなんでもできるらしいよとか、噂が乱立していてよくわかりません。
ハードウェアであれば、自前ですべてを作るわけにはいきませんから、どうしても工場などでの流出がありえます。その点ソフトウェアやサービスは大部分を秘匿できますから、今回のWWDCの「Lion/iOS5/iCloud」は全部ソフトウェアで謎だらけなのも当然。ルル様思いつきの「オレンジ」について考察するくらい謎で無謀なことといえます。

でも、iCloudについては、少なくともオレンジよりは情報があります。Appleは2009年にLaLaを買収していますが、Lalaは「Lalaライブラリにある曲は登録のみで聴ける、ない曲はアップロード」という方法でライブラリを膨らませ、かつMP3販売(89セント/1曲)とストリーミング販売(10セント/1曲)で価格を大きく変えたことが大きな特徴でした。
これを参考にすると、とりあえず自分が所有するトラックは(無いものは追加されるわけですから)すべてクラウドから聴ける様になるのかもしれません。そして、新規楽曲も購入方法が複数用意され、DRMフリーと、FairPlay付きと、ネット接続が前提のストリーミング再生とで価格が変わる(後者ほど安い)形になるのかもしれません。その内FairPlay付きは淘汰され、「MP3を持つならDRMフリー、そうでなければストリーミング」とかの剛毅なことになるのかもしれません。

Псиとしては(文字化けのしない)AudioGalaxyこそが希望ですから、外出先で利用可能なAirPlayとかができれば満足です。でも、それに加えてライブラリ外の曲について従来よりもずっと安価なストリーミング料金が設定されれば、充分ココロを惹くおまけになるでしょう。
また、先ほどの予測の中で、仮に「ストリーミング料金」が設定されないとしても、購入した音楽が同期なくすべての機器で再生可能になるのなら、それはそれですてきなことです。そうなると通信機能がなくiCloudを利用できないiPod Classicはまさしくクラシックなデバイスになるのでしょう。

もっとも、ここまでのお話は希望的観測と妄想ですから、あまり信じられて妙なことになってしまっても「悲観的な未来だけを天使が望んだなんてうそつき! うそつき!」と見えないだれかをぽかぽか叩くおいつめられた天使さんを見られるくらいしかお楽しみいただけることはありませんから、話半分にしてほしいところですけれど。

ともあれ、iCloudが期待以上なのか期待以下なのか、漠然と待っているのもアレだわ、ということでクラウドミュージックサービスを調べて、Псиの理想として導き出したのがAudioGalaxyだったのです。
これで基準と比較対象ができましたから、いずれ来るiCloudの長所と短所をきちんとコトバにできるはずです。それに、AudioGalaxyはAppleセカイと別の存在ですから、仮にПсиがAndroit機とかを購入しても、全くオーディオ領域に触れない、ということはなくなるはずです(Googleの音楽ストリーミングサービスがどんなものなのか、調べていないのでAndroidでAudioGalaxyが必要なのかどうかはわかりません)。

これが無料なのか有料なのか、MobileMeとの関連は、とか考えていくと三角座りのまま3日はわらっていられそうですが、天使は元気です。

♪〜どうして?[PSY・S]

ポータブルミュージックプレイヤーとしてのiPodやiPhoneやiPadには、ストレージ容量の問題があります。4GBなり8GBなり64GBなりで買ってきたデバイスは、買い替えない限り持ち歩ける曲数に限りがあります。
最大のストレージを搭載したiPhone/iPod touchが32GB、iPadが64GB、タッチパネルの無いiPod Classicだと160GB。MP3が1分1MB、1曲が5分と単純に考えると、32GBで6,000曲、64GBで10,000曲、160GBで32,000曲とかを持ち歩ける計算になります。
とはいえ、ストレージは「64GB」とパッケージに書かれているからといって、64GBをまるまる使えるわけではありません。この場合の64GBはあくまで「全部で64GB」ということで、「空きが64GB」ということではないのです。Псиの持っている仮想iPadは64GBのストレージを搭載していますが、「情報」を見ると使える空間は60GBくらい。残り4GBはどうやったってユーザには触れない領域といえます。

広告で謳われたストレージ容量をまるまる使えると信じて購入してしまうことは、2011年にもなってTHUNDER FORCE VIをサンダーフォースだと思って購入したり、2011年にもなってラブルート・ゼロを声優目当て以外の理由で定価購入したりするのと同じくらいのリスクを抱えているのです。うそです。そこまで重くはありませんごめんなさい。おわびにそのうちラブルート・ゼロの実況的ななにかをやるのでゆるしてください

どこまではなしましたっけ。そうそう、それでもそんなに空間があれば充分だと思えますが、先ほどの試算は本当にざっくりした計算。音質にこだわって320KbpsのMP3を作っている方ならファイル容量が(ざっくりと)2倍程度に膨れますから、持ち歩ける曲数は半分程度になります。Apple LosslessやWavファイルで持ち歩く場合、更に1分当たりのデータ量が大きくなりますから、持ち歩ける曲数も大きく目減りしてしまいます。

Псиはいつも320KbpsのMP3でリッピングしますから、64GBの仮想iPadにはおおよそ5,000曲は入れられる計算になります。そんな観点で仮想iPadの「情報」を見ると、現在仮想iPadに入っている曲数は4,500前後。これにそれなりのアプリとそれなりの写真を入れて、もう仮想iPadは常にフル状態。そういえば買ったその日にはこんな状態で、まさに最初からクライマックスだったといえます。
容量は大きな壁として存在しますから、後はいかにやりくりするか。新譜を買っては泣く泣く古いアルバムを削除する、学研ストアアプリでまんがサイエンスの新しい巻が出る度にうれしくて飛び上がった後に削除する曲を決めるめずらしい躁鬱に苛まれるのです。

だったら音楽はiPod Classicの再大容量のにまかせて、iPhoneやiPadを音楽の呪縛から解き放ってしまえばいいのでは、とも思うのですが、iPod ClassicにはBluetoothが無いという別の問題もありますし、そもそも160GB程度じゃ「あらゆる音楽ファイルを持ち歩く」なんて不可能。吟味のスパンと選別のしやすさが多少マシになるだけで、根本的な解決にはなりません。普通ライブラリは膨れ続ける宿命にありますから、容量が決まっている時点で話にならないのです。

というわけで、外に目を向けてみるのです。最近流行のクラウドミュージックなどを考えてみます。仮想米国型のクラウドミュージックといえば、月額いくらかを払って膨大なライブラリを自由に利用できる様にするもの。でも、この方式にもあまり興味がありません。Псиの持っている音源の一部はそんなライブラリに収録されている保証が全くない代物だらけです。
ROUAGEの配布音源の「月の素顔-otherwise-」は用意されているでしょうか。メトロノームの「プラネット」でさえ難しそうなのに、「プラネット-コバヤシミックス-」はどうでしょう。昔のゲームのサントラなどは解散して何年も経過したインディーズバンドのCD並に復活が見込めません

ここでポイントとなるのは、次の2点です。

  • ライブラリを持ち出したい。ライブラリ内のあらゆる曲には均等に再生される権利があります。可能な限りすべての曲を持ち歩き、将来曲数が増えても充分対応できる形にしたい。
  • ライブラリを持ち出したい。見かけの曲数だけ謳って、永遠に聴かない様な曲ばかりが含まれていても困ります。聴いた事も無い音源にタッチできたり紹介されるのは魅力的ですが、そんなことより優先されるべきは手持ちのライブラリをすべて網羅すること。

ライブラリの再現性と曲数は真っ向からぶつかる概念です。さあ、どうしましょう。

これらを解決する手段は一応存在します。方法はふたつ。ひとつは「mspot」や「ZumoDrive」の様な音楽用のクラウドストレージを使う方法。つまり、ライブラリをまるまるクラウド上(自分用ネット領域)にアップロードして、そこから聴けばいいよねという考え方です。
ただ、この方法には問題があって、まず音楽ファイルのアップロードを行いますから、同期にそれなりに時間がかかる、ということがあります。なにより実データの移動がありますから、大きなライブラリをアップロードしようと思うとそれなりに料金がかかります。もちろん無料のサービスもありますが、今までお話してきた様な悩みにうなずける方は無料のちっぽけなストレージサイズで満足できるはずがありません

じゃあもうひとつは。そもそも考え方を変えます。ライブラリを他にコピーしようとするからいけないのです。自分のライブラリを外出先から操作・再生できればすべての問題が解決するのです。というわけで、AudioGalaxyをためしてみました。

AudioGalaxyの動作原理は簡単で、まず自分の持っている曲目リストとプレイリストをクラウド上にアップロードします。ポイントは、曲そのものではなく曲目だけをアップロードしていることです。
iOSデバイスやAndroid端末のアプリを使うと、AudioGalaxy上の自分の曲目リストにアクセスすることができます。ここで楽曲を選んで再生させると、PCの音楽ファイルをストリーミング再生してデバイスに届けてくれるのです。つまり、ライブラリの入ったPCの電源を外出時も点けっぱなしにすることと引き換えに、すべての音源を再生できる様になるのです。

AudioGalaxyはクラウド上に(いわば)カタログだけをアップロードしている形ですが、じゃあライブラリがどれだけ増えてもだいじょうぶなのかというと、曲の上限は200,000曲だそうです。ただ、大きすぎるライブラリはサービスの負荷となるので、そうしたライブラリを持っているユーザには将来課金するかもしれないそうです(FAQの「Is there any limit to the size of my collection?」参照)。

でも、200,000曲なら充分でしょう。最初の頃の、iPod Classicで持ち歩ける曲の数を思い出してください。「160GBで32,000曲とか」...文字通り桁が違うのです。しかもサイズだのビットレートだので目減りする様な曲数ではありません。なんて理想的なサービスでしょうか。

そんなAudioGalaxyを、ちょっとためしてみました。

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